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現代自動車労組の飽くなき要求で蔚山もデトロイト化か

現代(ヒュンダイ)がトヨタを越えるとき: 韓国に駆逐される日本企業 (ちくま新書)

 韓国の現代自動車労組は、ことしも賃上げなどの要求を掲げて部分ストを実施しています。
 世界でも有数のクルマメーカーに成長した現代自動車ですが、労働組合の無茶とも言える要求を突っぱねることさえできず、このままでは第二のデトロイトになるのではないかと韓国内でも懸念の声があがっています。

 注目されるのは現代自動車労組の要求です。
 「成果給」として「純利益の30%の配分」、さらに前年の交渉で事実上の「60歳定年」で合意したばかりなのに、これをさらに1年延長して61歳に引き上げるよう求めています。

 さらに日本ではあまりなじみがない「子供教育費補助」も要求しています。
 前年の交渉で「子供3人までは、大学までの入学金と学費を全額補助」というよだれがでそうな要求を勝ち取ったのに加えて今年は、大学に進学しない子供に、「技術取得支援金として1000万ウォンを支援する」ことを要求しています。

 要求するのは自由ですが、韓国で問題視されているのは現代自動車勤労者の給与の高さです。
 この10年間で、現代自動車勤労者の平均年収は約2倍の9400万ウォン(約820万円)になりました。
 一方、一般企業に働く勤労者の平均年収は360万ウォン(約33万円)増えただけです。

 現代自動車の蔚山工場に部品を納入する企業の勤労者の年収は、現代自動車勤労者の平均年収の半分以下と格差が広がる一方ですが、それでも労組は飽くことなく無茶とも言える要求を毎年繰り返してストライキを行っています。

 デトロイトが破綻したのは、全米自動車労組が退職者医療費などの要求を掲げてきた結果、自動車メーカーが同市から撤退したことによって市の税収が激減したことが原因です。
 米国では、このような企業負担をレガシー・コストといっていますが蔚山もその道を着実に歩いているようです。
成長の終焉に悩む韓国―週刊東洋経済eビジネス新書No.21

 なぜ、現代自動車でそんなことが起きるのでしょう。
 原因は会社・労組の双方にあります。

 現在の現代自動車トップは創業者ではありませんが、利益を独占する体質であることに変わりはありません。
 一方の労組は7派閥に分かれていますが、柔軟な一派閥を除いて残りは強硬派と中間派と内部で勢力を競っています。
 おまけに労組のトップは役員並の待遇で専用車も与えられるという恵まれているため、労組内の選挙目当てに受けのいい要求を次々に提示します。

 労組は、会社が要求を呑まないといまや恒例となったストライキに打ってでますが、ことしも8月の2日間2時間づつの部分ストを行っています。
 韓国では、ストの職場に代替作業員を入れることができないとという規則がありますから、会社側はしまいには要求を呑まざるをえません。
 この悪循環が原因で、現代自動車労組のいまの姿があります。

 蔚山は港町で、海に面したところに現代造船という現代グループの工場がありますが、なぜかこちらは自動車労組のような無茶な行動には出ていないようです。

 現在ではまだ国内生産が海外生産を上回っていますが、よく引き合いにされる米国アラバマ工場との生産性の低さに耐えかねて中国をはじめ生産拠点の海外シフトが予定されている現代自動車の動き次第で蔚山のデトロイト化は避けれらそうにありません。
現代自動車の成長戦略 現代自動車の成長戦略

タグ:現代自動車
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