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クルマ自動運転 技術過信は命取り 地道な研究を

 世界に先駆けて電気自動車の開発に注力し急成長を遂げているとされる米国・テスラ・モーターズの乗用車が、東部ペンシルベニア州で起こした事故を米道路交通安全局(NHTSA)が調査していることが7月6日明らかになりました。

 テスラ・モーターズ社の電気自動車については、先月6月末に明らかになった南部フロリダ州の事故に続き、自動運転機能を備えた車両に絡む2件目の調査となりますが、この事故の原因は車に搭載されたカメラやレーダーが衝突の危険性を認識しなかったため、自動ブレーキが作動しなかった可能性があると同社が考えていることを欧米メディアが伝えています(読売新聞)が、もしこれが事実だとすれば公道走行など論外もってのほかでまさに時期尚早と言わざるを得ません。

 NHTSAといえば、ケネディ時代に続くジョンソン大統領時代に、当時米国で深刻な社会問題となっていた交通事故による死亡事故軽減を目的に発足した官庁で、その強力な権限を武器にさまざまな課題を解決してきた歴史がありますが、最近ではトヨタ車のブレーキ・アクセル誤作動問題が記憶に新しいところです。

 ところで今回の事故NHTSAの発表によりますと、調査対象は7月1日に起きたテスラ社のスポーツタイプ多目的車(SUV)「モデルX」で、ハンドル操作などが自動化される「オートパイロット」の機能が事故時に使われていたかどうかを調べるため、州警察とテスラ社・運転手双方から情報を収集しているとのことですから、調査はまだ緒についたばかり、真相追及はこれからというところでしょう。
 
 現在、世界各国で開発競争が並行進行している「自動車自動運転技術」確立の動きの中で、このテスラ・モーターズ社の事故はまさに氷山の一角。
 世界の各自動車メーカーはベールに隠された社内テストコースで周到に予備試験を重ねているに相違ありませんが、そこはベンチャー企業のテスラ・モーターズ、ステーク・ホルダーへの負の影響は最低限に抑えておきたいところでしょう。
 クルマ自動運転という時代を画するイノベーションの確立プロセスにおける一見ネガティブな側面かも知れませんが、失敗はまさに「成功のモト」、関係各位におかれてはこうした事故に懲りることなく技術向上に向けさらに邁進してほしいものです。

 とはいえ、かってクルマにも使われている加速度センサやジャイロなどと関連する制御技術開発を旨とする企部署に勤務していた経験からすると、クルマのような高速移動体を、現在の「人工知能」がヒトという高度な感覚を備え・かつ一定の訓練を受けたドライバー以上に、あらゆる想定環境下において「安全に」制御できるレベルにあるとは到底思えません。
 しかも求められる安全性は、他のクルマの動きも当然意識したものでなければなりません。
 つまり、周囲の移動体の速度や方向をも計算に入れて初めて「安全」な自動運転が実現したといえるはずですが、現状の技術レベルがはたしてその領域にあるのかも疑問があります。
 
 また、あまり知られていないことですが、現代のようにさまざまな通信電波(電磁波)が飛び交っている環境では(その密度は都市部ほど高く周辺部の地方都市なるほど低くなります)複雑なセンサーになればなるほど影響を受けやすく、それによる定性的・定量的な影響度もほとんど解明されていないのが実情です。

 いまだ優先順位さえ決まっていないクルマ自動運転技術の早期実用化を急ぐのではなく、地道な研究の積み重ねで、真の安全な自動運転に限りなく近づけてほしいものです。
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