PC(以下
パソコンをPCと表現します)や
スマホは真夏などの高温環境をもっとも苦手とする機器で、対応を誤ると最悪の場合には回復不能な致命的ダメージを被ることがあります。
また、携帯機器としてのモバイルPCやスマホには、温度以外に水や海水さらには塵埃などの環境要因も深刻なダメージを与える可能性はありますが、ここでは高温環境での影響に絞ることにします。
うちの家内のように、PCと名がつけば振動や温度に注意が必要ということは直感的に理解できる人でも、スマホとなると粗雑に扱いがちな方はいまも健在です。
そうなんです。
実はこのスマホ、モバイル用CPUの代表格
ARMに象徴される半導体デバイスで構成されていますが、内部構造はまさにPCそのものです。
家内のようにスマホ=
高機能携帯電話といったイメージをお持ちの方にも、この際真夏の海辺や山などに象徴される40℃を上回るような高温環境での使用について、ご存じない方に注意を喚起すべくPCやスマホの真夏の温度対策を私的にまとめてみました。
いきなりですが結論です!
お使いのパソコンが熱設計の点で十分余裕があるデスクトップPCなら、さほど心配する必要はないと思いますがノートPCの場合は、エアコンを利用するなどして室温自体を下げることが最も重要かつ確実な熱対策です。
さらに保険を掛ける意味で例えば
core Temp 1.1のようなフリーの温度監視アプリを利用して少なくともCPU(中央処理装置)のコア温度だけでもモニターしておくことをお奨めします。
Core Tempの場合、ユーザーがあらかじめ設定した最高温度に達したらアラームを発するという便利な機能も備えていますから、さらに安全です。
設定温度に達したらシャット・ダウンではなくWindowsのsleep機能などを利用して、PCとともにあなたもしばらく休憩にしましょう。
Core Temp
Core Tempサンプル画面
CPU情報を読み取り、最大コア温度などを自動的に表示してくます。
このCPUはデュアルコアなので両方のコア温度が表示されていますが、動画処理など負荷の大きいアプリが動作しているときや使用時間が長くなるとこの値が大きくなります。
また、
製造プロセスという項目がありますが、これはデザインルールを表していて値が小さくなるほど発熱量が増える傾向があります。
スマホの温度対策
スマホもPCに負けず高温に弱いデバイスだということはあまり理解されていないようですが、スマホは通話機能こそ備えているももの、電子機器のカテゴリから見れば、電話というより立派な超超小型「PCつまりパソコン」なのです。
HDD(ハードディスク)こそないもののあの小さなボディーにCPU ・メモリや周辺デバイスが実装されているにも関わらず、ファンのような強制冷却手段を備えていません。
内部の熱を発散する唯一の手段はケースへの熱伝導のみです。
夏場のように高い温度環境だと、それに内部半導体素子の自己発熱による温度上昇が加わりますから、問題がないわけありません。
特に夏場の海浜や山の上のような強い日差しのもとで長時間露出しての使用は禁物です。
なぜ温度対策が必要か?
PCもスマホも
CPUとそれに付帯する
HDDや
メモリというヒトに例えれば頭脳に相当する半導体デバイス(素子)が、もっとも大切な役割を担っていますが、このエネルギー源はクロック周波数と呼ばれる超高速のパルス電流です。
この周波数に比例してこれらのデバイスが発する熱も増えるという関係があります。
半導体装置の設計において、この熱をいかに効率的に外部に導出するかという課題を解決するためだけでも
熱設計というジャンルがあるほど重要なのです。
水冷などというマニアックな仕様のPCを別にすれば、一般的なPCの熱対策はデスクトップでは放熱用フィンとファン、ノートPCではヒートパイプ今では稀ですが超小型ファンとの協調となっています。
いずれも有効な放熱手段ですが、万能ではありません。
つまり、PCやスマホは高温環境での長時間使用に耐える性能をもともと備えていないのです。
ここはとっても重要なことですから、お持ちの機種・型式をもとに性能限界を知ることが大切です。
かって私もそうでしたが、大切な顧客関連情報や重要な個人情報をノートPCで保存・活用している方は、
高温環境でのデータ喪失・回復リスクへの配慮が大切です。
ノートPC冷却グッズは効果なし
ノートPCのように薄くてコンパクトなボディーは魅力的ではありますが、夏場など高温環境下での熱対策を怠ると最悪の場合本体を失ってしまいます。
このためパーツショップやネット通販で数多くの
ノートPC用冷却グッズを目にすします。
しかし、メーカーには甚だ失礼な表現となりますが、電子工学を学んだ立場からするとこうしたグッズの「
外から冷やす」効果、「ゼロ」とは言いませんがCPUなど主要デバイスを高温から保護するという目的においてほとんど効果はありません。
筐体にいくら風を与えても内部温度が下がることは期待すべくもなく、ましてや重要なデバイスはパッケージ化されていますから冷却効果はまったく期待できません。
まして、これらのグッズがPCのUSBポートを電源として動作するのであれば何が目的なのか分からなくなってしまいます。
そうかといって、ヒトの熱冷まし用に市販されている
冷え冷えマットなどを特にノートPC本体に密着させると、結露発生の原因にもなりますから、これまた好ましいPCの熱対策とは言えません。
尤もかくいう私も旅行先などでノートPCしか使えないときには、バスタオルを巻いた保冷材をノートPCに敷いて延命していますが.....
究極のPC熱対策
(1)周囲温度を下げる
PCを使う空間全体の温度を下げる、またはなるべく低い温度環境で使うということです。
これが最も有効な熱対策です。
このことは、エアコンが効いたオフィス環境でPCの熱暴走事故が稀なことを見てもわかります。
夏場でも冷蔵庫のような環境があればいいのですが、それではヒトが耐えられませんから、せめて
直射日光があたらない空間で、CPUの温度などに注意しながら適度に休憩をとりながら利用する、これに尽きます。
(2)排気用開口部を塞がない
最も基本的なことですが、ファンの吸排気口など開口部の位置は機種によって背面・側面とさまざまですが、ここを塞いではいけません。
よく判らないときは説明書でこれらの位置を確認しましょう。
また、デスクトップ型の場合でも開口部のある面はもちろんですが、周囲に空気対流用の空間を設けましょう。
(3)不要なアプリを常駐させない
Windowsのようなマルチ・タスク型OSでは、アクティブなアプリが多いほどCPUの負荷が重くなりますから、それに応じてCPUなどの発熱も増えます。
タスクマネージャーの
プロセスの中で、いまどうしても必要とするアプリ以外のプロセスが動作していたら右クリックの「
プロセスの終了」で、それらのアプリを停止しましょう。
なお、ここで終了したプロセスやサービスは、再起動すると再び有効になりますからスタートアップ時に起動するアプリの設定は慎重に行い、必要最小限に留めることが大切です。
Windowsタスクマネージャーで表示される
プロセス項目には、Windows NTに始まる「
サービス」というバックグラウンドで動作するアプリも表示されますから、これら
サービスを「
終了する」ことの妥当性判断については注意が必要です。
つまり、Windows OSやネットワーク、そしてその環境でその「プロセス」が果たす役割そして最も住なことですが「セキュリティ」について詳しい知識がない方は、軽々に「
プロセスの終了」を選択しないことが賢明です。
(3)ブラウザの不要タブはこまめに閉じる
ブラウザで多くのタブを開いているとCPUの負担はその分増えますから、閲覧を終えたタブはなるべくこまめに閉じるようにしましょう。
どんなブラウザでもこのことは共通です。
Windowsタスクマネージャーの「プロセス」で表示されるパフォーマンスとCore TempのようなCPU温度監視ソフト双方が教えてくれる情報を注意深く観察すると、開いているタブの数とCPUコア温度には明らかな相関関係があることが分かります。
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by Stevhego (2020-02-25 14:18)